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『真実を口にすると世界は凍る』〜法務大臣辞任と国境問題

 最近、気になったことが2つほどある。どちらも「真実を口にすると世界は凍る」といった思想家の言葉のとおり、「真実」を口にして首をきられた政 治家や、「真実」を口にすると世界を凍らせてしまうので、「真実」を言えない評論家やコメンテータあるいはニュース解説者と称する者たちのことである。

 民主党の法務大臣は、講演会で「法務大臣は、『個別の事案についてはお答えを差し控えます』『法と証拠に基づいて適切にやっております』の2つだ け覚えておけばよい。」というようなことをといって、自民党やその他の野党の「国会軽視だ」という批判や、TVニュースなどの「政治家にあるまじき行い」といった批判の下、結局は管総理に首を切られた。しかし、考えてみれば、今までの自民党の法務大臣などは、何度も国会で彼のような回答をなんども行っていたことからも、自民党が「国会軽視だ」という根拠などどこにもない。ばかな大臣というものは、国会で回答ができるわけもなく、なんとか切り抜ける方策を官僚が考え、これだけ覚えておいてくださいとでもいっていたことを、公にばらしたのだから、自民党などは今までの大臣の権威が大きく損なわれるから問題にしたくなるのも分からなくはない。これこそ、「本当のことを口にして、世界が凍りつき」、首を切られたいい例ともいえる。

 また、中国との尖閣列島や韓国との竹島問題、ロシアとの北方領土など国境の問題では、国境の論拠としては、中国や韓国と日本の「日本古来の領土」という考え方と、ロシアの 「現在の支配権の及ぶところが国境」という2つの考え方に集約されそうだ。尖閣列島の問題は、日本も中国、韓国も「日本古来の」「中国古来の」のいう言葉で、自国の領土であると主張している。しかし、「古来」とはいったい何なのだろうか。だれもこの疑問を投げつけていない。それぞれの都合で、ある時代をきりとっ て、この時代から中国のものとか日本のものとかいっているが、もう少しさかのぼれば果たして誰のものなのであろうか。結局、自分の都合に合わせて歴史を切 り取り、「古来」とか「元来」と言っているにすぎない。戦争で決着されることができないとすれば、最終的な決着は限りなく「国境をぼかせる」あるいは「共 有する」ことでしか解決できるわけもなく、そろそろ本当のことを言って、決着の手段を協議始めるほうがいいのではないのか。ところが、すべての報道機関は 「日本古来の領土」として、中国、韓国を侵略者とみなしているし、中国、韓国は「中国(韓国)古来の領土」として、すきあれば、自国の領土として組み入れようとしている。

 一 方、ロシアは「現実の政権の及ぶところ」を国境としているため、「古来」「元来」などという言葉は通用しない。過去の歴史を見ていれば、このようなロシア の主張はもっともなことと言わざるを得ない。古来に根拠がないとすれば、国境付近の住民が「我々はXX(日本、ロシアあるいは独立)の方がいい」とでも言 わない限り、現在の権益を維持するほか国境の根拠はないからだ。しかし、このロシアとの国境問題にしても、いずれ自由に行き来して国などを意識することの ない社会に向かって、何をするべきなのかを考える時期なのかもしれない。

 TVの解説やコメンテータと称するものたちは、誰もこのことには触れないようとしていない。国家の基本にかかわることは、タブーであり、それゆえ、「本当のことを口にすれば世界が凍る」ことになるからなのだろう。

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