昨今のTV報道は「初のストライキ」で喧しい。オーナー側の経営危機に対応する合併推進と、選手会側の合併による「リストラ」危機を先 取りし た合併反対の交渉決裂が、先週の土日選手会側の「ストライキ」というかたちで現れた。企業の合併や解散は最終的には経営者の判断である。とくに、「リストラ」はしないと表明している以上、異議があっても、労働者はいかんともしがたい。労働運動は、企業内条件闘争だから、企業の外側の問題には、対応できな い。この意味では、選手会側の「おもいちがい」の「ストライキ」である。
一方、企業の外側からこの問題を考えてみると、企業が合併するのも解散するのも自 由とするなら、新規参入も自由と考えるのが普通である。新規参入を組織として阻害することはまさにカルテルで、独禁法の問題なのかもしれない。とくに今回 に関してはライブドアや楽天などの新規参入希望があるにも関わらず、理由をつけて参入を阻んでおり、このことからは、決まったパイをみみっちく仲間内で分 け合っている姿しか見えてこない。今まで、企業利益につながる努力も何もしてこなかったつけで企業合併や解散にいたる責任はオーナー自身が負わなければな らないし、それを選手のリストラとして押し付けることは責任の転嫁である。労働市場が閉鎖的であればあるほど経営責任は重い。この責任から逃れるには、最低限企業参入を自由にして、労働者の企業選択を自由にするほかにはないであろう。
このように考えると、今回のストライキは労働運動のストライキと考えるよりも、閉鎖性企業集団の内部告発と考えた方がいいのかもしれない。