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「息さわやか外来」再診

 18日は「息さわやか外来」の再診の日で、息のガスクロ測定の日だった。待合室で本を読んでいると、医師から名前を呼び出され、小さな部屋に入る。そこで丁寧すぎるくらいの「今日のメニュー」を説明を受け、ガスクロの部屋に通された。ガスクロがどんな形状をしているか興味津々で見ると、思ったよりも随分小さく50cm立法程度の正方形の箱で、数本の管がその箱から伸びており、1本の管には注射器のようなものがつながれている。また、もう一本の管には口にくわえる管が接続されていて、測定する人毎に差し替えるようにできている。

 更に息サンプルを取るための方法の説明を受け、手順どおりに5分間口を閉じて口腔内の息が外に出ないようにした後、静かに口にくわえる管を唇の間に差し込み、管の奥が唾液でぬれないように口腔内で宙に浮かす。すると、医師が「はじめます」といって注射器を引いて息を注射器に吸入し、バルブを切り替え今度は注射器を押し込み注射器の中の息をガスクロに入れて、分析を始めるようだ。
 ガスクロの測定結果がでるまで時間があるようで、その間に唾液量の測定をおこなう。自然にして5分間にでる唾液量とパラフィンガムを噛んででる唾液量を調べて、平均的な量と比較するようだ。唾液量が少ないと口腔内の洗浄能力が低下し、雑菌が湧いて口臭の原因になるということで測っていると説明された。でも、口で息をする習慣があると、やはり口腔内が乾燥して雑菌が湧きやすくて同じようなものだと考えられるから、ほんとうはこの測定前に、口で息をするかどうか聞く必要があると思うのだが、それはなかった。
 この時点でもガスクロの結果が出ていないようで、次にブレストロンという息の簡易測定器での測定もおこなった。この機器はガスクロが高価なため、より簡便で安く測定することを目的として開発されたようで、揮発性硫黄化合物(VSC)と口臭の強さとの相関を利用してVSCの濃度から口臭レベルを評価するものなんだそうだ。測定結果は1317ppmでレベルはMODERETEで「口臭があります」のランクという結果だった。
 更に、2人の医師が私の口腔から出す息と深呼吸したときの肺からの臭いを嗅ぎ、その強度を5ランクで評価をおこなった。
 結局、息の測定は3種類の方法を用いているわけだ。なぜ3種類も測定するかといえば、「息がくさい」という主観的な概念をより客観的に把握するため、おそらくこの3種類の方法を比較し指標を明確にする研究目的なのだろう。(研究目的だけでガスクロ測定料金金5000円也は高いのではなかろうか)
ガスクロの結果は硫化水素10.5ng/10ml(認知閾値1.5ng/10ml)、メチルメルカプタン2.37ng/10ml(同0.5ng/10ml)、ジメチスサルファイド0.75ng/10ml(同0.2ng/10ml)となった。硫化水素、メチルメルカプタンは悪臭物質として規制対象になっている都道府県が多い物質で、まさに汚染物質が体内に充満しているということになるのだろうか。
 その後、歯科治療にいつも使われる診察用椅子にすわらされ、口を大きく開けて口腔内の検査を受けた。始めに歯周病の検査で、先のとがったカギのようなもので歯茎を押して何mmとかいって一本ずつ測っていた。次に舌を調べて、舌を幾つかに区分して、0~2のレベルで測定していた。何をしているのか聞いたところ、舌苔の厚さをレベル化しているのだそうだ。舌苔は舌の表皮のタンパク質がはがれてそれが舌の絨毯状の突起にくっつき、それに細菌がくっつき繁殖したものだそうで、これも悪臭の原因だそうだ。舌の奥の方がレベル2で舌苔が相当厚くくっ付いているようで、歯ブラシと舌ブラシを売店で買ってくるようにいわれ、買ってくると、舌苔の取り方の実習が始まった。確かにいわれるとおりに舌苔を舌ブラシで十数回こすると薄黄色が白っぽくなり、最後にピンク色に変わって舌の先の色とほぼ同じになった。
 舌苔を落として、ブレストロンでの再測定を行うと、425ppmに落ちていた。医師は舌苔を落とした成果だといっているが、前回の診察では歯を磨いた後のブレストロンの結果が442ppmだったから、今回はうがいも、歯磨きもしてこないようにいわれて、そのようにして来ているから、その結果として始めの測定(1317ppm)が高かっただけではないのか。舌苔を落としたというより、舌苔を落としてうがいして口腔内を洗浄したため、歯磨きをして口腔内の洗浄をした前回と同じような数値になったとも考えられるのではと思ったが何もいわずうなずいただけだった。この数値はMILDで「かすかに口臭があります」という結果だそうだ。
 ガスクロの再測定の結果は硫化水素1.6ng/10ml、メチルメルカプタン0.31ng/10ml、ジメチルサルファイド0.17ng/10mlとなり、始めの測定よりほぼ7~8分の1に減少した。更に、(知っていたが面倒なのでやっていなかった)歯の磨き方を教えてもらい磨いて、再度ブレストロンで測ると、250ppmに減少し、ガスクロは塩化水素1.67ng/10ml、メチルメルカプタン0.317ng/10ml、ジメチルサルファイド0.177ng/10mlとなり、2回目と余り変化がない結果となった。この程度なら普通だそうで、問題ないということだった。結局、舌苔をとるのか効果的という結論だそうだ。

 多少疑いながら再診以後は毎朝、舌苔をこそぎ落としている。舌苔を落とすことが口臭をなくすことの必要十分条件とは思はないが、つれあいにいわせれば、口臭がなくなったそうだ。考えてみれば50余年も舌を磨かなかったのだから苔が密集するのも当然といえば当然で、それが原因ならば、「息さわやか外来」が「老人歯科医療」に区分されているのも納得できる。
次回は一ヶ月後で、その間の舌苔との奮闘結果を評価するのだそうだ。

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