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Nとの対話~日米貿易協定

N:
 日本では、秋だと言うのに、私の住み家では桜の話題で持ちきりです。
その間に日米貿易協定が粛々と進んでいます。私はTPPの蒸し返し、日米FTPだと思っています。同じようなことを共産党が衆院で2019.11.13に、衆院農林水産委員会で田村貴昭議員が、衆院外務委員会で穀田恵二議員が、茂木敏充外務大臣に質問しています。
 田村貴昭は、再協議規定があり、さらなる関税下げも要求される、ことについて、穀田恵二は、国会を欺く資料提出について、審議の根幹に関わる重大問題だとして、途中で質問止めちゃいました。
 アメリカは、クリントンの頃から再協議といういつもの手を使ってきます。外務省の資料について、調べてみました。
 今回の日米貿易協定の始まりは、2018年9月26日の日米首脳会談です。日米首脳会談の共同声明の仮訳で、「Trade Agreements on goods, as well as on other key areas including services」(物品、およびサービスを含む他の重要分野に関する貿易協定)を、「日米物品貿易協定(TAG)」と意識的に直訳とは異なる一部だけの翻訳をしました。しかもこれを正式な翻訳のように扱っています。

  • 2019年4月、ワシントンDCで行われた、日米首脳会談・閣僚会合で交渉開始。このとき「日米物品貿易協定」という言葉が消えていました。その後
  • 2019年8月25日、日米首脳会談をめぐるページで、昨年9月の共同声明の日本語版が仮訳であったことを認めました。
  • 2019年9月23日合意確認。
  • 2019年9月25日、日米首脳会談をめぐるページで、「日米貿易協定」という用語を使用。(8月25日段階では「日米貿易交渉」となっていた。)
  • 2019年10月7日公式文書署名。2019年11月15日には衆議院通過しました。20日から参院で審議される見通し。

 なぜ、外務省は隠すのか。日米貿易協定の外務省による日本語版では、第7条この協定の付属書は、この協定の不可分の一部を成す。第11条この協定は、日本語及び英語をひとしく正文とする。ただし、付属書Ⅱは、英語のみを正文とする、となっています。
 付属書Ⅰは日本国の関税及び関税に関連する規定で114ページ、付属書Ⅱはアメリカの関税及び関税に関連する規定で24ページ、またⅡについては公式日本語版の作製が禁止されています。この協定の本体である付属書の分量が全然違います。日本側についてはこと細かく規定されていますが、アメリカ側については概要しか書かれていません。先に上げた、再交渉でいつでも変えることができるようにしてあるように思われます。でも、これで対等の外交協定なんですかね。そりゃ、外務省も隠したいですね。
外務省のサイトに英語版があります。興味があったらご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000527401.pdf

瘋癲老人:
 国家間の経済交渉は経済・軍事など国家間の力の差が現れるものだと思います。政治家は自国に有利な交渉結果だといって、自分の力を誇示したいため、あるいは失敗を隠すため、交渉の結果はこれだけのものを勝ち取ったといって、不利な内容は隠そうとしてしまいます。そんなことは何十回も繰り返してきています。もし、このようなことをなくそうと考えるならば、国家の介入のない経済社会、あるいは国家のない社会が実現しなければ解決できないと思っています。
 しかし、現実的には国家が存在し、経済社会を管理しています。国家がある限りは確かに少しでも有利な条件を相手に飲んでもらいたいと思うのは我々も、政治家も同じだと思いますが、実際の交渉ではそうもいかないのでしょうね。でもまともな政治(高みから見下ろす政治ではなく、庶民目線の政治)をめざすなら、交渉結果の不利な点も明らかにして、なぜ不利な条件をのまなければならなかったかを説明する必要があるのでしょうね。

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